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帚木蓬生の短編集、『風花病棟』を読み終えた。
著者の帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)は知らない方も多いかも。
名前も知らなきゃ読めないし……僕ももちろん最初は読めず。源氏物語から取ってるそうです。
TBS勤務後医師になり、精神科医を続ける傍ら小説を書いているといった異色の経歴。

医療系の小説がメインなのですが、サスペンスや歴史もの、そして時に社会倫理を問うものであったりと様々な視点から作品を書き上げています。
この人の作品は文章が丁寧で、読み手を意識していて非常に読みやすい。
おそらく論文を書いたりしている経験が生きているのだと思いますが、構成がしっかりしていて専門分野にありがちな難解な読み口にならずに読める点が素晴らしい。

初めて読んだ『臓器農場』が重いテーマのうえ、リアリティを持った仕上がりになっていて非常に面白い半面、中々次に手を出せずじまいでした。
たままたま『風花病棟』を本屋で見つけ、短編なら、と思い手に取ってみたらやはり読みやすく、何より心温まる医師の話に引き込まれました。
本作は10名の医師の医療に対する姿勢を描いている。
それぞれに話し手の設定がしっかりしていて、フィクションなのかノンフィクションなのか分からなくなるほど。
落ちやどんでん返しのない短編集なので物足りないと思う方もいるかもしれないですが、すっと入ってくる文章に、医師でないと描くことのできない医師、そして患者の苦悩生きざまが書かれていて胸を打たれます。

最後のあとがきに書かれた『実際の医療現場を担うのは、名医でも悪医でもなく、「普通の名医」なのだ』という言葉はあるべき医師の姿を示すとともに、医、という言葉を変えればなににでも通用する普遍的なものだと思います。

書き味はやや古風で落ちやどんでん返しもないですが、一度目を通すべき作品だと思います。

さて、つぎは『エンブリオ』でも読もうか。

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