エスプレッソ・ラテアートを中心に、その他諸々。
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帚木蓬生の短編集、『風花病棟』を読み終えた。
著者の帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)は知らない方も多いかも。
名前も知らなきゃ読めないし……僕ももちろん最初は読めず。源氏物語から取ってるそうです。
TBS勤務後医師になり、精神科医を続ける傍ら小説を書いているといった異色の経歴。
医療系の小説がメインなのですが、サスペンスや歴史もの、そして時に社会倫理を問うものであったりと様々な視点から作品を書き上げています。
この人の作品は文章が丁寧で、読み手を意識していて非常に読みやすい。
おそらく論文を書いたりしている経験が生きているのだと思いますが、構成がしっかりしていて専門分野にありがちな難解な読み口にならずに読める点が素晴らしい。
初めて読んだ『臓器農場』が重いテーマのうえ、リアリティを持った仕上がりになっていて非常に面白い半面、中々次に手を出せずじまいでした。
たままたま『風花病棟』を本屋で見つけ、短編なら、と思い手に取ってみたらやはり読みやすく、何より心温まる医師の話に引き込まれました。
本作は10名の医師の医療に対する姿勢を描いている。
それぞれに話し手の設定がしっかりしていて、フィクションなのかノンフィクションなのか分からなくなるほど。
落ちやどんでん返しのない短編集なので物足りないと思う方もいるかもしれないですが、すっと入ってくる文章に、医師でないと描くことのできない医師、そして患者の苦悩生きざまが書かれていて胸を打たれます。
最後のあとがきに書かれた『実際の医療現場を担うのは、名医でも悪医でもなく、「普通の名医」なのだ』という言葉はあるべき医師の姿を示すとともに、医、という言葉を変えればなににでも通用する普遍的なものだと思います。
書き味はやや古風で落ちやどんでん返しもないですが、一度目を通すべき作品だと思います。
さて、つぎは『エンブリオ』でも読もうか。
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塩野七生の著作、ローマ人の物語をついに読み終えた。
文庫版なので実に43巻、一冊がコンパクトに区切られているとはいえ、これだけの長編を読んだのは初めて。うーん、おもしろかった。
年に数冊程度の刊行になっていたので実に10年近く読んでいたことになる。
古代の帝国ローマ、その誕生から発展、そして終焉まで。
世界史はほとんどスルーした学生生活を送ったため、まっさらな状態から読めたので勉強にもなり、また楽しかった。
体裁にも著者の考えがしっかり反映されており、また表紙の硬貨を追うだけでもその歴史を楽しめる。
著者は宗教的な部分に関しては客観的な視点で書いてある点はいいかなと。とは言っても必要以上に多神教を賛美しているきらいはありますね。
なんだかんだ通して思ったのは支配者は無知であっても怠惰であってもいけない。傲慢さはときに必要だけど。後期であればスティリコやベリサリウスなどの優秀な人材も上司が悪ければ結局無念のまま非業の死を遂げるはめになる。
まぁ近年だと麻生さんがカップラーメンの値段も知らない、漢字もろくにわからないみたいなやり玉のあげられかたしてたけど、これは無知ではなくてそんなとこしか見れないマスコミとそれを真に受ける人がおバカなんですね。
閑話休題。
ローマ賛美に彩られている部分、極論的でしっくりこない部分もあるけど、物語全体としてみれば非常に面白く、さまざまな人間模様やリーダーの生きざまなど感心させられる部分も多い。
もちろんカエサル・アウグストゥスは素晴らしいけど、ローマを危機に陥らせたハンニバルの勇猛さが個人的には一番読み応えがあったかな。
長いけどそのうちもう一回通して読んでみようと思います。
ローマに興味があればご一読あれ。
十字軍のほうも早く文庫化してくんないかな。
立ち読みしてたら面白くって衝動買い。
東京バル特集なんだけど、最近結構できてるみたいね。
面白いのがカウンターのみのところとかもあるみたい。うちの職場の近くにもバルじゃないけどそういうお店があって、マスターとの距離も近くて楽しくていいです。
気になってるのは北千住のボケロンってとこ。いつ行こうかな♪
あとはお店ごとにレシピ紹介をしてくれていてかなり使える。
2,3品作ったけどどれもおいしい。来客用のレシピが増えて楽しいね。
で、来月号っていっても明日発売の4月号がカフェ特集みたい。
明日みて良かったらまた買ってみよっと。
割とスチーミングが安定中です。
今回買ったマキネスティのMOBうまし。
いつもおいしいんですけど、たまにそのなかでもうまい時があるんだよね。
豆の状態もあるんでしょうけど、湿度の変化とかもあるのかもね。
研修医の世良が所属するのは佐伯教授の君臨する総合外科。
絶対的な力を持つ佐伯教授のもとにライバル帝華大よりやってきた高階講師。
技術偏重思考の総合外科に高階は技術がない者でも高度手術ができる『スナイプAZ』を持ち込み、反感を買いながらも認められていく。
そんな中手術のスペシャリストであり高階のライバル・渡海は佐伯教授の学会不在時にある行動を起こす。
しかしそこにはブラックペアンの秘密が隠されていた・・・・・・
最近小説をなかなかいいペースで読めているけど、何作か読んだ中で一番おもしろかったのはこれかな。
本作は『チームバチスタの栄光』をはじめとする『田口・白鳥シリーズ』の番外編。
主人公は外科研修医の世良となっていますが、メインは権の字こと高階院長の若かりし頃。
他にも看護師藤原・猫田・花房、学生の頃の田口・速水・島津といったメインシリーズの若いころも出てきて面白い。
時代設定が変わっても海堂尊作品の売りであるテンポの良さは健在。
相変わらずスーパーマン的存在はいますけど、白鳥・速水ほどではないので強引すぎなくていい。
海堂尊シリーズは登場人物がリンクしているので他のシリーズ読まないといまいちわからないと思いますけど、『田口・白鳥シリーズ』を読まれている方にはお勧めですよ。白鳥でないけど。
あとは同じく海堂尊のイノセントゲリラの祝祭と、辻仁成の五女夏音、目下の恋人、嫉妬の香り……。
だいぶかたよってんなぁ。
五女夏音はまぁまぁ良かったけど、目下の恋人はいまいち。特に後半。
イノセントゲリラは小説を通して海堂尊が言いたいことを言ってる感じだね。
そういう意味であんまり医療に興味のない方にはお勧めでないかも?
あ、のぼうの城も読みました。
まずまず面白いけどちょっと物足りない。まぁ期待しすぎたってのはあるけど。
主人公のキャラはいいけど、キーとなった行動に説得力がないんだよね。
とはいえ引き込まれていくストーリー展開と個性的なキャラクターはいいです。
ハードカバーで読みたいものはあるけど、文庫は行き詰まり。
次は何を読もうかな。
男性視点で辻仁成が、女性視点で孔枝泳が描き上げたコラボレーション作品、『愛のあとにくるもの』を読んだ……って、まだ孔サイドは途中だけど。
辻仁成のコンビネーション作品といえば江國香織との『冷静と情熱のあいだ』があるけど、僕はそれが好きなもんで今作も見つけて即お買い上げ。
構成、いじらしい展開、二人の性格、展開、予定調和な雰囲気・・・・・・・良くも悪くも『冷静と~』の二番煎じ感は否めない。
けど、辻仁成らしい引き込まれるような書き方と雰囲気で心地よく読めました。
辻仁成の作品ってなんだか定期的にぐぐっと引き込まれるんだよなぁ。
『そこに僕はいた』、『冷静と情熱のあいだ』、『青空の休暇』……。
『愛のあとにくるもの』はあんまりお勧めではないけど、個人的には面白かったなぁ。
最近は『告白』とか『永遠のとなり』とか読んだんだんだけど、どうもしっくりこなかったんで久しぶりに集中できる小説に出会えたのはよかったな。
『海峡の光』は評価が高いので、次読んでみようか。
九月は毎年恒例『ローマ人の物語』の文庫版が刊行。さらに今年は『十字軍物語』が開始。
『十字軍物語』はハードカバーだからちょっと迷うけど。
しばらく読み物には困らなそうでいい感じ。
ただ最近映画が外れ気味なんだよね。明日ひさしぶりにDVDでもみようかと思うけど、またいまいちなのだったらやだなぁ。
さて、何観よっかな。
デジカメを買い換えたので、せっかく何で写真の勉強しようと本を一冊買ってみました。
『写真の撮り方ハンドブック』
基礎から応用まで詳しい解説とさらりとした文章で書かれていてとても読みやすいです。
写真と図をうまく使っていて、うまく噛み砕きつつ必要なポイントをしっかり押さえる痒いところに手が届く作品。
ISO感度についてもページをしっかりとっていたり、構図や光の使い方など幅広く抑えていてなかなかに実用的です。
デジカメの方もフィルムの方にもどちらにも対応っていうのもいいですよね。
写真全般にいい感じで興味が持てる。
教科書ではなく、読み物に近い感覚で読めて、必要なこと、知りたいことをしっかりと書いてある。
僕なんかは写真に関してはほとんど知識もないので、ちょうどよい一冊です。
コンデジ使ってオートでそのままとっているだけの人にお勧めですよ。
一歩進んだ写真が撮れる…かも?
田口・白鳥シリーズでいいのかな?
第三弾は救急医療にかかわるお話ですが、テンポのよさと臨場感は相変わらず。
『ナイチンゲールの沈黙』のようなファンタジー要素がないのはよかった。
もうすでにミステリーではなくなっていますが、面白くなっているのでいいと思います。
速水医師は凄さは現実離れしている感はありますが、その切れ味のよさが作品を力強いものとしていると思います。
相変わらずさらっと読めるのもいいところですが、他の作品と同じく現在の医療・社会構造に対する問題提起をしています。医療はどうあるべきか。
人の命を救うのはもちろんですが、結局お金の問題は切っても切り離せないところではあります。
結局のところ蘇生などの救命はかなりお金のかかる部分。
個人的には高齢者の医療負担の現状とかも問題提起して欲しいですが。
正直『ナイチンゲール・・・』と双子の小説である意味はあまりないような気がします。まぁ一つの作品を分けたから結果的にそうなったんですが、前作のシーンが半端に出てくるのはちょっとうっとうしい。
登場人物は作品を重ねるごとに良く言えば個性的に、悪く言えば非現実的になっています。
そのおかげもあってかシーンがイメージし易いのはいいところですかね。
今作の白鳥のほどほど感はちょうどいいかな。
なんだかラストは物足りないような気がしないでもないですが、3作の中では一番面白かったかな。
このシリーズの何がいいのかなぁ、と思ったらどうやら僕はタイトルの構成が好きなような気がします。
やっぱりタイトルとかジャケットの構成とかは作品のイメージを決める一つの要素だから大事ですね。
前作『チームバチスタの栄光』を記事にしたとき続編は読まんとか書いときながら、すっかりわすれて読みました。
いや、映画の予告偏で見た『ジェネラルルージュの凱旋』が面白そうだったもんでつい・・・
まぁそれはさておき、臨場感と疾走感は相変わらずなので読み易く、またあっという間に読み終わりました。
医療ミステリー関連はなかなか面白いですね。
さて、ネタバレ込みは以下にて。
イタリア歴史作家(?)塩野七生の作品といえばこちら、ローマ人の物語。
1992年より毎年一冊ずつハードカバーで刊行され、2006年に完結したローマの興亡記の文庫版。
いやー、おもしろいんですよ、これが。ここ数年で一番かな。
そもそも僕が世界史に触れる機会がなったっていうのもあって、初めて読む、知ることが多いのがいい。
そしてこの作品の特徴は彼女の視点。
それが本書を教教科書的な歴史書ではなくしています。
硬っくるしいかと思えばそんなことは全然無く、むしろ研究書でも教科書でもないからこそ生き生きと書かれています。
多くの写真や図を使用して非常に分かりやすく、また多彩な将校・皇帝たちと兵站の解説が戦争の様子をイメージしやすくしてくれています。
ハンニバルとかやっぱりすごいんだなぁ、と。
なかなか知る機会の無かったローマ人の生活や、多神教の考え方、公共心と敗者の同化。
ローマはなぜ成長し、そして退廃していったか。
多神教や風呂好き、職人気質ともいえる部分など日本人とも重なる点も多くて親近感をおぼえました。
最新刊である「迷走する帝国」では次々と皇帝が入れ替わり、安定した政策がとれないでいる。
なんか今の日本と重なるような・・・今だからこそ学ぶべき点があると思います。
女性が書いていますが、どちらかといえば男性向けな気がします。
文庫版はまだ完結しませんし、ハードカバーもかなり長い。
ただ、毎回次が待ち遠しくなる出来で読む価値は大。
カエサル、ハンニバルなど有名どころが登場しない一巻目からも十分楽しめる内容ですので、一度図書館で借りてみるのも一つの手ですかね。
文庫版の装丁がかっこいいのもポイントです。
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